テント内でストーブは使える?NITEは「使用しないで」|一酸化炭素チェッカーを付けても安全にはならない

テント内でストーブは使える?NITEは「使用しないで」|一酸化炭素チェッカーを付けても安全にはならない

テントの中で石油ストーブを使うことについて、製品事故を調べている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は「テント内や車内などでは、石油ストーブなどの石油器具やガスこんろなどのガス器具は使用しないでください」と呼びかけている。理由は「一酸化炭素中毒や酸欠によって窒息し、死亡するおそれ」があるからだ。

消費者庁も、テントの中など換気が不十分な場所で火を燃やすと一酸化炭素中毒に至るおそれがあるとして、「必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください」と書いている。いっぽうストーブメーカーの側は、トヨトミとコロナ(OUTFIELDストーブ向け)が、テント内で使う場合の注意書を出している。どちらも、条件を満たすテントに限ってテント内での使用を想定した文書で、使うときの責任はお客様にあると明記している。また両社とも、テントの外やタープの下で使うことを禁止している。

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一酸化炭素チェッカー(警報器)を置けば使ってよい、ということにもならない。キャンプ向けの警報器を出している新コスモス電機は、取扱説明書に「テント内や車内などにおける火気の使用を推奨するものではありません」と書いている。

Sotopiaは、テントの中でストーブを使うことを勧めない。この記事では、テント内でのストーブについてNITE・消費者庁・メーカーがそれぞれ何と書いているかを、原文に沿って並べる。ここに書いた事実関係は、すべてNITE・消費者庁の公表資料と、各メーカーの公式サイト・取扱説明書に載っているものだ(2026年9月27日に閲覧)。

冬の夕方のキャンプ場。雪の残る地面に張られた、入口を閉じたテントの外観
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目次

NITEと消費者庁は「テント内では使わない」と書いている

公的機関の注意喚起は、どれも「テントの中で燃焼器具を使わない」「屋外の風通しのよい場所で使う」という方向で書かれている。主なものは次のとおり。

発表元・資料日付書かれていること(原文)
NITE 製品安全情報マガジン Vol.423「一酸化炭素中毒の事故」2023年2月28日号「テント内や車内などでは、石油ストーブなどの石油器具やガスこんろなどのガス器具は使用しないでください。一酸化炭素中毒や酸欠によって窒息し、死亡するおそれがあります。」
NITE プレスリリース「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」2021年4月28日「テントの中などの換気が不十分な場所でたき火をしたり、ガスカートリッジこんろやポータブルストーブ、ランタンなどを使用したりすると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」
消費者庁「行楽シーズン到来!安全にレジャーを楽しみましょう」2023年4月27日「テントの中などの換気が不十分な場所で、たき火やこんろ、ランタンなどを燃焼させると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」

NITEは2021年2月22日号のメールマガジン(Vol.375)でも、石油ストーブの一酸化炭素中毒事故に続けて、テント内や車内で石油ストーブなどの暖房器具を使わないよう同じ趣旨の注意を載せている。

NITEの2021年4月28日のプレスリリースは、キャンプ用品を扱うコールマン ジャパンと連携して出したもので、キャンプ初心者に向けた注意点をまとめている。NITEの公式サイトには、テントの中でたき火をしたときの一酸化炭素濃度の変化を測った実験映像も公開されている(「専門家が実験を行っております。大変危険ですのでマネしないでください」と添えられている)。

一酸化炭素中毒は、眠っている間にも起きる

燃焼器具は、燃えるために空気中の酸素を使う。トヨトミのテント用注意書には「燃焼に必要な酸素が不足すると、不完全燃焼しすすや一酸化炭素などが発生して中毒になるおそれがあります」とあり、続けて「乳幼児や呼吸器疾患などのかたは体調不良になるおそれがあります」と書かれている。

消費者庁の資料には、キャンプでの実際の事故例が載っている。

「キャンプ中に、4畳のテント内でバーベキュー後の炭をたいて就寝した。夜中に気分が悪くなり、頭痛、ふらつき、嘔吐した。一酸化炭素中毒で、救急搬送された。」(医療機関ネットワーク事業、事故発生:平成31年4月、40歳代、要入院)

これは炭の例だが、NITEが紹介している石油ストーブの事故も、就寝中に起きている。NITEのメールマガジンVol.423には、燃焼空気取入口にほこりがたまった石油ストーブを「密閉された室内で使用したまま就寝し」、一酸化炭素が大量に発生した異常に気づかず1名が死亡した事故が載っている。これは室内で起きた事故で、テントの中ではない。それでもNITEは、この事故の注意事項の中で、テント内や車内では使用しないよう書き添えている。

コロナのテント用注意書も、いちばん危険な状況として「換気不十分による酸素不足からの不完全燃焼により、ストーブが異常燃焼を起こし、すすや一酸化炭素の発生する状況」と、テント内での可燃物の引火による火災を挙げている。

冬の夜のキャンプ場。換気口(ベンチレーター)を開けたテントの外観。テントの中にも周りにも暖房器具・火器は置かない
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もう一つの危険は火災|テントの中は逃げ場が少ない

メーカーの注意書は、テントの中で起きうる火災の原因を具体的に挙げている。

  • 床のシート:トヨトミは「フロアシートに引火して避難できなくなるおそれがあります」と書いている。
  • 衣類の乾燥:「衣類が乾燥すると、製品の熱気でゆれて落下して火がつき、火災の原因になります」(トヨトミ)。トヨトミRL-F250の取扱説明書にも「衣類乾燥厳禁」の表示がある。
  • 燃料・ガス缶:「ガス缶、スプレー缶などは燃料容器の圧力が上がり、ガス漏れや爆発を起こし危険です」(トヨトミ)。
  • 雪:「積雪するような状況ではテントに負担がかかりテントが破損し、火災のおそれがあり危険です」(トヨトミ)。コロナも「降雪時は雪の重みでテントが倒壊し、火災のおそれがあります」と書いている。

コロナの注意書には「緊急時の避難方法」の欄まである。出入口のファスナーが熱で溶けるなどして開かない場合は、ナイフなどで側面の生地を切りさいて脱出する、という内容だ。火が出たときにテントがどれほど逃げにくい場所になるかを、メーカー自身が想定していることがわかる。

メーカーの書き方は3通りある|トヨトミ・コロナ・アラジン・フジカ

NITE・消費者庁が「テント内では使わない」とはっきり書いているのに対し、ストーブメーカーの書き方はそろっていない。キャンプで名前の挙がりやすい4社の公式サイトと取扱説明書を開いて、テントと屋外についての記載を確かめた(2026年9月27日時点)。

メーカーテントの中について屋外・タープの下について
トヨトミ「テント内でご使用の場合の取扱注意書」と取扱注意書チラシを公開。「テント内で安全にご使用していただくために必ずお守りください」として、使えるテントの条件と禁止事項を示し、「お客様が責任を持って安全にご使用ください」と明記している「風のあたる場所、テント外での使用禁止」「タープ内では絶対に使用しないでください」。RL-F250の取扱説明書も「風のあたる場所や屋外では使用しないでください」
コロナ「テント内でOUTFIELDストーブを使用する場合の取扱説明書(注意書)」を公開。公式サイトでは「お使いいただけるテントについてご確認ください」として条件を示し、「お客様が責任をもって安全にご使用ください」とある「野外やテント外、タープの下など雨や風の影響を受ける場所などでは使用しないでください」
アラジン(ブルーフレームクッカー)使えるテントをロゴス製の「ドゥーブルシリーズ(ROSYを除く)」に限り、それ以外の「テント・シェルターでは使用しないでください」としている。ロゴス製テント全般の取扱説明書は火気厳禁だが、ドゥーブルシリーズについては例外として使用を想定している、という書き方だ商品ページに屋外での使用を禁じる記載は見当たらない
フジカ(ハイペット)公式販売サイトのよくある質問・商品ページに、テントについての記載は見当たらないよくある質問で、屋外で使うなら「整流リング、反射板付きのJ2WRがお勧めです」と回答している

トヨトミとコロナ(OUTFIELDストーブ)の注意書は、条件を満たすテントに限って、テント内での使用を想定した文書だ。そのうえで、使うときの責任はお客様にあると明記し、注意書と取扱説明書以外の使い方で起きた事故については、いかなる場合も責任を負わないと書いている。この記事では、その条件の中身は紹介しない。NITE・消費者庁は、そうした条件を設けずにテント内では使用しないよう呼びかけている。「メーカーが注意書を出している=安全が保証されている」という意味ではない。

アラジンのブルーフレームクッカーのように、使ってよいテントを特定の製品に限っているメーカーもある。スノーピークの石油こんろ「タクード」も、使える製品を同社製のシェルター・2ルームシェルターに限り、テントについては「テント内での使用は酸素不足による不完全燃焼」になるとして「絶対に使用しないでください」と書いている。メーカーが使えるとしているのは同社のシェルターで、テントではない。ただし、対象を限っていても、その中なら安全という意味ではない。シェルターでもテントでも、幕の中で燃焼器具を使えば一酸化炭素の危険がある(NITE・消費者庁の注意喚起)。

テントの側の取扱説明書も確かめる必要がある。たとえばコールマンのテント「BCクロスドーム/270」の取扱い・組立て説明書は、「危険」の欄に「テント内での火気の使用は、大変危険です。一酸化炭素中毒等、生命をおびやかすおそれがありますので、絶対におやめください。」と書いている。テントの説明書で火気が禁止されていれば、ストーブの説明書に何が書いてあってもそのテントでは使えない。テントの説明書で禁止されていないからといって、使ってよいことにはならない。NITE・消費者庁は、テント内では使わないよう呼びかけている。

「タープの下なら大丈夫」ではない|メーカーはタープ下・屋外も禁止している

テントの中が危ないなら、タープの下や屋外で使えばよいと考えがちだ。しかしトヨトミとコロナ(OUTFIELDストーブの注意書)は、テントの外やタープの下で使うことも禁止している。理由は風と雨で、トヨトミは「風の影響により異常な炎が出て危険です」、コロナは「雨や風の影響により異常燃焼や故障の原因になります」と書いている。

キャンプ向けとうたっていない石油ストーブの取扱説明書も同じ書き方をしている。トヨトミの開放式石油ストーブRL-F250の取扱説明書は、使ってはいけない場所として「風のあたる場所、部屋の出入口、屋外」を挙げ、「風のあたる場所や屋外では使用しないでください。炎が出て危険です」としている。

屋外での使用について前向きに答えているのは、今回確かめた中ではフジカだけだった(風対策の部品が付いたモデルを勧める回答)。石油ストーブを屋外で使えるかどうかは、機種ごとの取扱説明書に書かれていることがすべてだ。「キャンプ向け」と紹介されている製品でも、屋外やタープの下では使用禁止になっている場合がある。

ただし、屋外やタープの下が禁止されているからといって、テントの中が安全だという意味ではない。メーカーが屋外を禁じている理由は風や雨による異常燃焼で、テント内の一酸化炭素や火災の危険がなくなるわけではない。NITE・消費者庁は、テント内で燃焼器具を使わないよう呼びかけている。

一酸化炭素チェッカーを付けても、テント内で使ってよいことにはならない

一酸化炭素チェッカー(一酸化炭素警報器)は、空気中の一酸化炭素を検知して音や光で知らせる機器だ。NITE・消費者庁の上の注意書きに、「警報器を置けばテント内で使ってよい」という例外は書かれていない。警報器のメーカー自身も、次のように書いている。

  • 新コスモス電機(アウトドア用一酸化炭素アラーム CL-725の取扱説明書):「ただし、一酸化炭素の発生を未然に防止する装置ではありませんので、一酸化炭素の発生による損害については、責任を負いかねます。また、この製品の使用により、テント内や車内などにおける火気の使用を推奨するものではありません。」
  • DOD(キャンプ用一酸化炭素チェッカー2の商品ページ):「本製品はその測定結果、及びその利用による結果を保証するものではありません。」「本製品はテントや自動車内における火気の使用を助長するものではありません。」

警報が鳴ったときの対応について、新コスモス電機は公式ページのよくある質問で「一酸化炭素が発生していて、人体に影響を及ぼす可能性があるので、直ちに避難してください。必ず安全を確保した後、火気の使用中止、換気などの必要な処置を行ってください。」と答えている。同じページには、自社でテント内の一酸化炭素を測った結果として「テント内で火気を使用すると高濃度の一酸化炭素を検知し、一酸化炭素中毒の恐れがあることがわかりました」とも書かれている。警報器は、テントの中でストーブを使うための道具ではない。

寝るときは、どの資料も「消す」で一致している

資料どうしで書き方が違う中で、ここだけはすべてそろっている。ただし、これは起きている間ならテント内で使ってよいという意味ではない。NITE・消費者庁は、時間帯を問わずテント内では使わないよう呼びかけている。

  • NITE:「就寝時には使用せず、寝る前に確実に消火してください。」
  • トヨトミ(テント用注意書):「寝るときや、短時間でもテントを離れるときは、必ず消火してください。」
  • コロナ(テント用注意書):「寝るときやテントから離れるときは必ずストーブを消火してください。」
  • トヨトミ RL-F250取扱説明書:「寝るときや外出するときは、必ず火が消えていることを確認してください。」

Sotopiaとしては、冬の夜の寒さはストーブに頼らず、寝袋と服装で備えることを勧める。冬用の寝袋を選ぶときは、冬用シュラフの選び方の記事も参考にしてほしい。

冬の朝のキャンプサイト。テントの前に畳んだ厚手の寝袋とブランケットが置かれている
イメージ画像です。

ストーブをキャンプに持っていく前に確かめること

ストーブを持っていく・買う前に、次の3つを自分で確かめてほしい。

  1. その機種の取扱説明書:使ってはいけない場所(屋外・風のあたる場所など)を確かめる。説明書やメーカーの注意書にテント内での使い方が書かれていても、NITE・消費者庁はテント内では使わないよう呼びかけている。説明書は各社の公式サイトで読める。
  2. テントの取扱説明書:テントの側で「火気厳禁」とされていれば、そのテントでは使えない。書かれていなくても、NITE・消費者庁はテント内では使わないよう呼びかけている。
  3. キャンプ場のルール:消費者庁は「テントの設営場所、火の取扱いや道具の使い方等を事前に確認しておきましょう」と呼びかけている。

わからないことは、推測で済ませずに各メーカーのお客様窓口に問い合わせるのが確実だ。

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この記事を書いた人

多数のジャンル案件を手掛けるWebライター。

趣味のソロキャンプを活かしたアウトドア案件は特に得意とし、取材を兼ねた愛車のジムニーJA-11改でキャンプ場ワーケーションに出かけることも多い。

元飲食店主の経歴もあるためキャンプ飯にはこだわりたいタイプ。

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