アイロンストーブは、卓上に置ける小型の灯油・パラフィンオイルのストーブだ。今回確かめたメーカー2社は、どちらも屋外で使う製品として売っている。テントの中や室内では使わない。寝るときだけの話ではない。起きている間でも、テントの中では火をつけない。
「暖かいか」への答えは、公式の表示からは数字で出せない。WINNERWELLとE.N Worksは、どちらも用途に「暖房」を挙げている。ただ、暖かさを比べる出力(kW)の数字は、2社とも公式ページに載っていない。
この記事は以前、テントの中で暖房として使うことを前提にした説明を載せていた。これは誤りだった。すべて取り下げる。紹介する製品も、メーカー公式で今も販売され、仕様と価格を確かめられた2機種に絞った。ここに書いた価格・仕様・注意は、2026年10月2日に各メーカーの公式ショップと、NITE(製品評価技術基盤機構)・消費者庁の資料で確認したものだ。燃料の選び方と給油の注意は、アイロンストーブの燃料の記事にまとめている。

「暖かい?」の答え|2社とも「暖房」を挙げるが、出力の数字は公式に載っていない
アイロンストーブは、電気が普及する前の時代の道具が元になっている。WINNERWELLは商品ページで、19世紀のアメリカで「家庭や労働者の暮らしを支えた歴史的道具『アイロンストーブ』」と紹介している。
WINNERWELLとE.N Worksは、照明・調理・暖房を1台でこなす道具として売っている。暖かさについて、各社の公式の表示は次のとおりだ。
| 製品 | 暖かさ・火力についての公式の表示(原文) |
|---|---|
| WINNERWELL アイロンストーブ キャンピング クッカー ストーブ | 用途として「照明・調理・暖房がたった1台で」。よくある質問で「アイロンストーブは想像以上に火力があります。」 |
| E.N Works E.N Stove | 「暖・料理・灯など様々なシーンで活用いただけます。」「大型ストーブの出力は有りませんが」 |
2社とも、何kWかという数字を出していない。家庭用の石油ストーブのように「何畳まで」という目安もない。だから、この記事では「どれくらい暖かいか」を数字で比べることはできない。E.N Worksも、大型ストーブほどの出力はないと書いている。
以前の記事は、テントの中での暖かさを、根拠になる数字のないまま書いていた。使う場所もメーカーの表示と合わない。誤りだったので削除した。
2社とも「屋外」で使う製品|テントの中・室内では使わない
選ぶときに最初に見るのは、メーカーがどこで使う製品としているかだ。2社の表示は次のとおり(2026年10月2日時点)。
| 製品 | 使用場所についての公式の表示(原文) |
|---|---|
| WINNERWELL | 商品ページ「本品は屋外専用ストーブです。屋外でのみご使用ください。」。ショップの注意書き「WINNERWELL®製品は屋外使用を前提とした屋外用アウトドア製品です。」 |
| E.N Stove | 「屋外専用」「屋外専用ですが周りが囲まれている所では使用しないで下さい。」 |
公的機関も、テントの中で燃焼器具を使わないよう呼びかけている。
| 発表元・資料 | 日付 | 書かれていること(原文) |
|---|---|---|
| NITE プレスリリース「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」 | 2021年4月28日 | 「テントの中などの換気が不十分な場所でたき火をしたり、ガスカートリッジこんろやポータブルストーブ、ランタンなどを使用したりすると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」 |
| NITE 製品安全情報マガジン Vol.423「一酸化炭素中毒の事故」 | 2023年2月28日号 | 「テント内や車内などでは、石油ストーブなどの石油器具やガスこんろなどのガス器具は使用しないでください。一酸化炭素中毒や酸欠によって窒息し、死亡するおそれがあります。」 |
| 消費者庁「行楽シーズン到来!安全にレジャーを楽しみましょう」 | 2023年4月27日 | 「テントの中などの換気が不十分な場所で、たき火やこんろ、ランタンなどを燃焼させると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」 |
NITEのプレスリリースの本文資料は、燃焼器具を「特にテントの中やフライシートの下では絶対に使用しないでください」と書いている。実験では、ソロキャンプ用テントのフライシートを閉めた状態でホワイトガソリン式のポータブルストーブを使ったところ、「約 15 分で濃度が 200ppm を超えました」。小さなテントほど安全、ということはない。フライシートを開けていればよい、という意味でもない(同じ資料は、テントの外で使っていてもテント内に燃焼した空気がたまることがあると書いている)。
どの資料にも、「小型だから」「起きている間なら」テントの中で使ってよい、という例外は書かれていない。灯油の石油ストーブについての詳しい話は、テント内のストーブについての記事にまとめている。
公式で仕様と価格を確かめられた2機種
各社の公式ショップの表示は次のとおり(2026年10月2日時点)。
| 製品 | 価格 | サイズ | 重量 | 燃料・タンク | 販売の表示 |
|---|---|---|---|---|---|
| WINNERWELL アイロンストーブ キャンピング クッカー ストーブ(SKU910265) | 57,500円(税込)。セール価格51,750円(税込、2026年10月1日~15日) | 19.9cm×13cm×25cm | 2.4kg | パラフィンオイル、灯油(タンク容量600ml) | 「カートに入れる」ボタンあり |
| E.N Works E.N Stove(通常モデル) | 55,000円(税込) | W14㎝ H17.5㎝ D9㎝ | 約1.5㎏ | 灯油もしくはパラフィンオイル(満タン270㎖) | 売り切れの表示なし。在庫がない場合は発送まで時間がかかると記載 |
価格・在庫の表示は時期で変わる。買う前に各社の公式ショップで確かめてほしい。

WINNERWELL|鋳鉄製・2年間保証
WINNERWELL Nomad Japanの公式オンラインストアで売られている。販売ページの写真にはテントの中や屋内で火をつけた場面がありますが、メーカーの注意書きは『屋外専用』です。当サイトは、一酸化炭素中毒や火災の危険から、テントの中や室内での火器の使用をおすすめしません(NITE・消費者庁の注意喚起)。素材は「鋳鉄、AISI304ステンレススチール、真鍮(フィラーキャップ、ロッド)、マイカ(窓)」。燃焼時間は「約5時間(火力により異なります)」。本体・芯1枚・専用ケース・説明書のセットで、お買い上げ日から2年間の保証が付く。専用のグリルプレート(2,980円・税込)や替え芯(1,300円・税込)も別に売られている。
E.N Works|日本製・屋外専用
E.N Worksのショップ(BASE)で売られている。商品ページは「小型のアイロンストーブにインスパイアされたストーブ」と紹介し、スペック欄に「made in Japan」とある。注意事項は細かく、「石油機器へのガソリン、混合油の使用厳禁」「風の強い日はご使用をお控えください」などが並ぶ。
以前の「5選」から外した製品と項目
以前の記事で紹介した5製品のうち、次の3製品は外した(2026年10月2日時点)。
| 以前紹介した製品 | 外した理由 |
|---|---|
| ThousWinds ファイヤーダンスストーブ | メーカー公式の日本語の商品ページを確かめられず、「屋外専用」の表示も確認できなかった。以前リンクしていた販売店のページは、商品説明に屋外以外の場所を連想させる語を含んでいた |
| Ranker アイロンストーブ INDRA No.1 | 以前の商品ページは表示されず(ページが見つからない)、販売サイトの中を探しても本体の商品が見当たらなかった。専用の付属品は今も並んでいる |
| COLONISTA HOT NUMBER | 公式ショップの表示が「SOLD OUT」で、購入ボタンの代わりに再入荷通知の受付になっている(2026年10月2日時点)。公式の火力の説明は「鑑賞用程度」 |
アンティーク品の探し方(オークション・フリマ・中古店)と、自作の紹介も外した。古い製品や自作品は、使ってよい場所や燃料を示すメーカーの取扱説明書を確かめられないからだ。
屋外で使うときは、テントやタープから離し、そばを離れない
屋外で使う場合も、置き場所に気をつけたい。NITEの本文資料は「テントの外で使用している場合でも風向きなどの条件次第ではテント内に燃焼した空気が滞留することがあります」と書いている。この記事は、タープの下やテントの入口のそばも置き場所として扱わない。
- 燃えやすい物:E.N Worksは「ストーブの近くに燃えやすい物を置かないで下さい」、スプレー缶やカセットボンベを「熱が直接あたるところに置かないでください」と書いている
- 風:E.N Worksは「風が有るときはご使用をお控え下さい」としている
- やけど:E.N Worksは「燃焼中や消火直後は、機器上面などの高温部に手をふれないでください」としている
- 目を離さない:E.N Worksは「調理を行うときはその場を離れないで下さい」としている
- しまうとき:WINNERWELLの使用方法は「完全に消火したことを確認し、完全に冷えてから収納してください」としている
「屋外の風通しのよい場所で」と呼びかけられていることは、テントの入口を開ければテントの中でもよい、という意味ではない。屋外で使うときも、キャンプ場が火器をどこまで認めているかを先に確かめる。
寒さは服装と寝具で防ぐ|寝るときに消す、だけでは足りない
E.N Worksは「離れる時や寝るときは、必ず消火してください」と書いている。ただし、これは起きている間ならテントの中で使ってよいという意味ではない。上のメーカーの使用場所の表示にも、公的機関の呼びかけにも、時間帯の条件はついていない。
アイロンストーブを暖房の当てにせず、冬の夜の寒さは寝袋・マット・服装で防ぐ。冬キャンプの暖房の考え方は冬キャンプの暖房の記事に、寝袋の選び方は冬用シュラフの選び方の記事にまとめている。

アイロンストーブを買う前に確かめる3つのこと
- 使用場所の表示:屋外専用か。今回の2社とも屋外で使う製品として売っている。
- 使える燃料:灯油かパラフィンオイルか、どちらを勧めているか。ほかの燃料は使わない。詳しくは燃料の記事へ。
- テントの中・室内・車の中では使わない:小型でも、起きている間でも同じ。消費者庁は「テントの設営場所、火の取扱いや道具の使い方等を事前に確認しておきましょう」と呼びかけている。
情報源
- WINNERWELL Nomad Japan 公式オンラインストア「ウィンナーウェル アイロンストーブ キャンピング クッカー ストーブ SKU910265」 https://www.winnerwell-nomad.jp/view/item/000000000031、「使用上の注意と保証ポリシー」 https://www.winnerwell-nomad.jp/view/guide(2026年10月2日に閲覧)。販売ページの写真にはテントの中や屋内で火をつけた場面がありますが、メーカーの注意書きは『屋外専用』です。当サイトは、一酸化炭素中毒や火災の危険から、テントの中や室内での火器の使用をおすすめしません(NITE・消費者庁の注意喚起)
- E.N Works オンラインショップ「E.N Stove」 https://en1.theshop.jp/items/69362596、「特定商取引法に基づく表記」 https://en1.theshop.jp/law(2026年10月2日に閲覧)
- COLONISTA 公式ショップ「HOT NUMBER」 https://colonista.official.ec/items/79604955(2026年10月2日に閲覧。外した製品の確認用)
- Ranker オンラインショップ「INDRA」 https://ranker.theshop.jp/categories/4843703(2026年10月2日に閲覧)
- NITE(製品評価技術基盤機構)プレスリリース「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」2021年4月28日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2021fy/prs210428.html、本文資料(PDF) https://www.nite.go.jp/data/000138994.pdf(2026年10月2日に閲覧)
- NITE「製品安全情報マガジン Vol.423 2月28日号『一酸化炭素中毒の事故』」2023年2月28日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2022fy/vol423_230228.html(2026年10月2日に閲覧)
- 消費者庁「行楽シーズン到来!安全にレジャーを楽しみましょう」2023年4月27日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_069/(2026年10月2日に閲覧)









