石油ファンヒーターは、キャンプのテントの中では使わない。寝るときだけの話ではない。起きている間でも、テントの中・車の中では使わない。石油ファンヒーターは灯油を燃やす暖房器具で、取扱説明書の表紙にも「強制通気形開放式石油ストーブ」と書かれている。NITE(製品評価技術基盤機構)は、テント内や車内では石油ストーブなどの石油器具を使わないよう呼びかけている。
テントの外なら使えるかというと、そうでもない。ダイニチ・コロナ・トヨトミの現行品の取扱説明書は、どれも「屋外」を使ってはいけない場所に挙げている。家の部屋で使うための暖房で、キャンプ場で暖を取る道具ではない。
この記事は以前、「キャンプで使える石油ファンヒーターランキング」として、テントの中で使うことを前提に、選び方とランキングを紹介していた。これは誤りだった。テント内で使う前提の選び方・ランキング・使い方の説明は、すべて取り下げる。ここに書いた注意は、NITE・消費者庁の資料と、ダイニチ工業・コロナ・トヨトミの公式サイトに載っている取扱説明書で、2026年10月2日に確認したものだ。

テントの中では石油ファンヒーターを使わない|起きている間も同じ
公的機関の注意喚起は、テントの中で燃焼器具を使わず、屋外の風通しのよい場所で使う、という方向でそろっている。
| 発表元・資料 | 日付 | 書かれていること(原文) |
|---|---|---|
| NITE 製品安全情報マガジン Vol.423「一酸化炭素中毒の事故」 | 2023年2月28日号 | 「テント内や車内などでは、石油ストーブなどの石油器具やガスこんろなどのガス器具は使用しないでください。一酸化炭素中毒や酸欠によって窒息し、死亡するおそれがあります。」 |
| NITE プレスリリース「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」 | 2021年4月28日 | 「テントの中などの換気が不十分な場所でたき火をしたり、ガスカートリッジこんろやポータブルストーブ、ランタンなどを使用したりすると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」 |
| 消費者庁「行楽シーズン到来!安全にレジャーを楽しみましょう」 | 2023年4月27日 | 「テントの中などの換気が不十分な場所で、たき火やこんろ、ランタンなどを燃焼させると、一酸化炭素中毒に至るおそれがあります。必ず屋外の風通しのよい場所で使用してください。」 |
石油ファンヒーターは、ファンで温風を送るが、燃えているのは灯油だ。ダイニチ・コロナの取扱説明書の表紙は「強制通気形開放式石油ストーブ」、トヨトミは「電気温風機付強制通気形開放式石油ストーブ」と分類を書いている。NITEの言う「石油ストーブなどの石油器具」にあたる。
どの注意喚起にも、「換気をすれば」「一酸化炭素チェッカーを置けば」テントの中で使ってよい、という例外は書かれていない。時間帯の条件もない。チェッカーとテント内のストーブについては、テント内のストーブの記事で、警報器メーカー自身の注意書きとあわせて書いている。
3社の取扱説明書は「屋外」での使用も禁じている
石油ファンヒーターの大手3社の公式サイトで、現行品の取扱説明書を開いて「使用する場所」の記載を確かめた(2026年10月2日時点)。
| メーカー・製品(品番) | 取扱説明書の「次の場所では使用しない」の記載(原文) |
|---|---|
| ダイニチ工業 ブルーヒーター(FW-3226NC・FW-4226NC) | 「風のあたる場所、部屋の出入口、屋外」「標高1,300m以上の高地」 |
| コロナ 石油ファンヒーター(FH-CP25Y・FH-CPF25A) | 「風のあたる場所、部屋の出入口および屋外」「標高が2,000mを超えるような高地」 |
| トヨトミ ハイブリッドヒーター(LC-SHB40N) | 「風のあたる場所、部屋の出入口、屋外」。説明に「風のあたる場所や屋外では使用しないでください。炎が出て危険です。」 |
3冊とも、テントで使うことについての記載はない。取扱説明書の図はどれも、窓や壁のある部屋に置いた絵だ。家の部屋で使うことを前提にした製品といえる。コロナの取扱説明書も「ファンヒーターは室内で燃焼する製品」、トヨトミも「ストーブは室内で燃焼する」と書いている。
取扱説明書には、部屋の換気のしかたや、燃えやすい物から離す距離も書かれている。これは家の部屋で使うときの注意で、テントで使ってよい条件ではない。テントで使ってよい条件として読まないでほしい。
そして、屋外で使えないという記載は、テントの中なら使ってよいという意味ではない。テントの中は、上の表のとおりNITE・消費者庁が燃焼器具を使わないよう呼びかけている場所だ。以前の記事の、タープの下で使う記述も取り下げる。タープの下も、取扱説明書が禁じる「風のあたる場所」だ。テントの前室はフライシートの下で、NITEは「特にテントの中やフライシートの下では絶対に使用しないでください」としている。車の中でも使わない。つまり、テントサイトには石油ファンヒーターを使ってよい場所はない、というのがこの記事の結論だ。
石油ストーブ(反射式・対流式)の取扱説明書が屋外での使用をどう書いているかは、冬キャンプの石油ストーブの記事で並べている。
キャンプでの使用を案内する機種があっても、テント内で使ってよいとは読まない
コロナは「OUTFIELD」の特設ページで、石油ファンヒーター FH-CPF25A を「ポータブル電源対応 石油ファンヒーター」として紹介している。そのページからは、「キャンプなどテント内でストーブを正しくご使用いただくために」というページに案内がある。石油ストーブ・石油ファンヒーターについて、条件を満たすテントに限ってテント内での使用を想定した内容だ。この記事では、その条件の中身は紹介しない。
いっぽう、同じ FH-CPF25A の取扱説明書(FH-CP25Y と共通の1冊)は、上の表のとおり「屋外」を使ってはいけない場所に挙げている。屋外を禁じる理由は風で、コロナは「風があたると赤火が出たり、異常燃焼の原因になり危険です」と説明している。だからといって、テントの中なら一酸化炭素や火災の危険がない、という意味ではない。メーカーが条件つきでテント内での使用を想定していることは、テントの中なら安全という意味ではない。NITE・消費者庁は、そうした条件を設けずに、テント内では燃焼器具を使わないよう呼びかけている。当サイトは、テント内での火器の使用をおすすめしない。
「ポータブル電源対応」は、使える電源についての表示だ。取扱説明書が「屋外」を使ってはいけない場所に挙げていることは変わらない。以前の記事の、電源サイトやポータブル電源でテントの中で使う記述も取り下げる。

「やけどしにくい」「寝るときに消す」は、テントで使ってよい理由にならない
以前の記事は、石油ファンヒーターは本体が熱くなりにくく、子ども連れでも安心だと紹介していた。しかし、テントの中で使ってはいけない理由は、本体の熱さではなく、灯油を燃やすことによる一酸化炭素中毒と火災だ。やけどしにくいことは、テントの中で使ってよい理由にならない。この記述も取り下げる。
NITEは2019年11月28日の注意喚起で、2014年度から2018年度の5年間に通知のあった石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故について、95%(337件中321件)が火災になり、死亡事故は50件(57人)だったとしている。家の中で使う場合でも、事故を防ぐポイントとして次を挙げている。
- 「給油する前に必ず消火する。」
- 「周囲に可燃物などを置かない。特に衣類などを乾かさない。」
- 「就寝する前に必ず消火し、完全に消えたことを確認する。」
ダイニチ・コロナの取扱説明書も、「寝るときや外出するときは、必ず消火してください」と書いている。寝る前に消すのは正しい。ただし、これは起きている間ならテントの中で使ってよいという意味ではない。NITE・消費者庁は、時間帯などの条件をつけずに、テント内では燃焼器具を使わないよう呼びかけている。
以前のランキングと選び方は、すべて取り下げた
以前の記事は、ランキング5製品と「タイプ別ベストバイ」3製品を紹介し、テントの広さに合わせた大きさの選び方、キャンプの泊数に合わせた燃焼継続時間の選び方、テントの中で便利な機能などを書いていた。どれもテントの中で使うことを前提にした内容だったので、すべて取り下げる。
順位は筆者独自の基準によるもので、販売数や調査などの根拠も示されていなかった。この記事では、キャンプで使う製品として石油ファンヒーターを紹介することをやめた。販売店へのリンクもすべて外している。家で使う機種を選ぶときは、各メーカーの公式サイトで、その品番の取扱説明書の「使用する場所」を確かめてほしい。
冬キャンプの寒さは、寝袋・マット・コットと服装で防ぐ
テントの中で火器を使わないなら、冬の夜の寒さを防ぐ本体は寝具だ。コールマンは公式オンラインショップの「キャンプ寝具の選び方」のページで、寝袋は「キャンプ予定地の最低気温よりも『-5℃低い対応温度』のモデルを選ぶと安心」とし、「断熱性の高いマットを併用することで、地面からの冷気を防ぎ」と書いている。
コールマンはさらに、マットや寝袋を重ねて使う「レイヤードシステム」を勧め、「湿気対策としてグランドシートやコットを併用するのも効果的です」としている。重ね方と、公式で確かめた寝具は、冬キャンプで寝るときの寒さ対策の記事にまとめている。
電気の暖房も、テントの中で使う暖房としては勧めない。電気ストーブやホットカーペットも同じで、起きている間も含めて勧めない。理由は寝るときの寒さ対策の記事に書いた。電気毛布についてNITEは「就寝中はスイッチを切って眠りましょう」と呼びかけていて、寝る前に寝床を温める道具として使う。
寒さが予報より厳しいときは、無理にテントで夜を越そうとしない。キャンプ場にバンガローなどの宿泊棟があるかどうかを、出かける前に確かめておくと選択肢になる。

冬キャンプに出かける前に確かめること
- 石油ファンヒーターはキャンプに持っていかない:テントの中・車の中では、起きている間も使わない。取扱説明書は「屋外」での使用も禁じている。換気や一酸化炭素チェッカーは、使ってよい条件にならない。
- キャンプ場の最低気温と標高:予報の最低気温から、寝袋の対応温度とマット・コットの組み合わせを決める。
- キャンプ場のルール:消費者庁は「テントの設営場所、火の取扱いや道具の使い方等を事前に確認しておきましょう」と呼びかけている。焚き火や調理は、テントから離れた屋外の開けた場所で、キャンプ場のルールに従う。屋外で使うよう呼びかけられていることは、だからテントの中なら安全、という意味ではない。
- 寒さが厳しいときの逃げ場:宿泊棟の有無や、予定を見直す判断を前もって決めておく。
わからない点は、使っている石油ファンヒーターのメーカーのお客様相談窓口に問い合わせるのが確実だ。
情報源
- NITE(製品評価技術基盤機構)「製品安全情報マガジン Vol.423 2月28日号『一酸化炭素中毒の事故』」2023年2月28日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2022fy/vol423_230228.html(2026年10月2日に閲覧)
- NITE プレスリリース「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」2021年4月28日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2021fy/prs210428.html、本文資料(PDF) https://www.nite.go.jp/data/000138994.pdf(2026年10月2日に閲覧)
- NITE プレスリリース「石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故、5年間で57人死亡~給油時は、細心の注意を払いましょう~」2019年11月28日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2019fy/prs191128.html(2026年10月2日に閲覧)
- NITE「製品安全情報マガジン Vol.493 1月27日号『電気マット、電気毛布、電気あんかの事故』」2026年1月27日 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2025fy/vol493_260127.html(2026年10月2日に閲覧)
- 消費者庁「行楽シーズン到来!安全にレジャーを楽しみましょう」2023年4月27日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_069/(2026年10月2日に閲覧)
- ダイニチ工業「取扱説明書 ブルーヒーター FW-3226NC・FW-4226NC」 https://www.dainichi-net.co.jp/uploads/2026img/fw-3226nc_4226nc.pdf、取扱説明書ダウンロード(家庭用石油ファンヒーター) https://www.dainichi-net.co.jp/support/download/manual/fanheater/(2026年10月2日に閲覧)
- コロナ「取扱説明書 コロナ石油ファンヒーター FH-CP25Y・FH-CPF25A」(取扱説明書のダウンロード https://www.corona.co.jp/support/download/manual/index.html で型式を検索)、「CPタイプ|石油ファンヒーター」 https://www.corona.co.jp/heating/fanheater/cp/index.html(2026年10月2日に閲覧)
- コロナ「CORONA OUTFIELD特設ページ|ポータブル電源対応 石油ファンヒーター FH-CPF25A」 https://www.corona.co.jp/outfield/cpf/、「安心してキャンプでお使いになる際に」 https://www.corona.co.jp/outfield/stovetent-safety/(2026年10月2日に閲覧)
メーカーはテント内での火器の使用を想定した設計として案内していますが、当サイトは一酸化炭素中毒や火災の危険から、テント内での火器の使用をおすすめしません(NITE・消費者庁の注意喚起) - トヨトミ「取扱説明書 LC-SHB40N」 https://www.toyotomi.jp/manual/operation/LC-SHB40N.pdf、「石油ファンヒーター」製品一覧 https://www.toyotomi.jp/products/heating/oil-fan-heater(2026年10月2日に閲覧)
- コールマン公式オンラインショップ「【キャンプ寝具の選び方】寒さ対策も万全!快適な眠りを叶えるアイテムガイド」 https://ec.coleman.co.jp/sc/pickup_210114_01.html(2026年10月2日に閲覧)









