キャンプに火消し壺を必ず持っていけ、という決まりは、この記事で確認した消防・キャンプ場の資料には見当たらない。ただし炭を使うなら、消火の道具はどちらか一つは要る。大分市消防局は「消火する際は、火消し壺や消火用のバケツを使用しましょう!」と呼びかけている。
理由は、炭が水をかけただけでは消えきらないことがあるからだ。大分市は、炭は一度着火するとおよそ800度まで達し、水をかけたり短い時間水に浸けたりするだけでは内部まで水が浸透しないことがあるため、再燃する可能性があるとしている。広島市消防局も同じ注意を出し、ふたのある不燃性の容器で空気を遮断するか、水を張った金属製のバケツ等に長時間漬けおくよう求めている。
ここに書いた消火の方法と注意は、総務省消防庁・林野庁のリーフレット、東京消防庁・広島市・大分市の消防の注意喚起、キャンプ場の公式ページ、メーカーの製品ページと取扱説明書に載っているものだ(2026年10月2日に確認)。
「いらない」と言えるのは、燃え残りを完全に消す別の手段があるときだけ
広島市消防局の「炭等の固体燃料の処理について」は、完全に消火する方法を二つ挙げている。火消し壺は一つ目に当たる道具だ。どちらの方法も道具と時間が要る。
| 方法 | 広島市消防局の書き方(要約) | 気をつけること |
|---|---|---|
| 空気を断つ | ふたのある不燃性の容器に入れ、空気を遮断し完全に消火する | 金属の容器は高温になるおそれがあるので、可燃物との接触を避ける |
| 水に漬ける | 水を張った金属製のバケツ等に炭等を入れ、長時間漬けおく(例として、夕方に使用したものは翌日まで) | 一度に入れると大量の水蒸気が発生して危険なので、少しずつ移す |
つまり、火消し壺がなくてもよいと言えるのは、水を張った金属製のバケツを用意し、翌日まで漬けておける場合などに限られる。総務省消防庁と林野庁のリーフレット「STOP山火事!」も、屋外で火を使うときの注意として「消火用の水を準備」「火から目を離さない」「使用後は完全に消火」を並べている。

炭は、水をかけて消えたように見えても、内部の火種から再燃することがある
誤解されやすいのがここだ。炭火に水をかけて表面が黒くなっても、消えたとは限らない。大分市消防局は、水をかけることや短い時間水に浸けるだけでは内部まで水が浸透しないことがあるとし、夕方に使用した炭は翌日までバケツの水に浸けておくか、火消し壺に入れて窒息消火するよう求めている。東京消防庁も、使用済みの木炭を捨てる際は「水道水などで十分に浸してから捨てる」としている。
消防が紹介している火災の例は、どれも、消えたと思った炭が原因だ。
- 大分市:使い終わった炭を再利用しようと倉庫に収納した後、炭が再燃し倉庫が全焼した事例。火おこし中の炭の一部を、火がついていないと思って収納し、火災になった事例
- 東京消防庁:バーベキューで使った炭を、段ボールに入った未使用の炭と一緒にして車に載せて走行中、火種が残った炭が段ボールに着火し、車両のフロアーマット等が焼損した事例
- 東京消防庁:河川敷の石を組んだかまどで炭を燃やした後、消火しないまま離れた場所へ移動し、強風で炭火が飛び火して枯草が焼損した事例
なお、焚き火台やグリルそのものに水をかけるのは、器具の注意書きと食い違うことがある。SOTO「デュアルグリル ST-930」の取扱説明書は、消火のために本製品に水をかけると急激な温度変化で破損・変形するおそれがあり、高温の水蒸気でやけどをするおそれもあるとして、やめるよう書いている。水で消すなら、器具ではなく、炭を水の入ったバケツへ少しずつ移すやり方になる。
キャンプ場の灰捨て場は「消火してから」。場所とルールは施設ごとに違う
灰捨て場があっても、火のついたまま捨ててよいわけではない。公式ページで確認できた3か所は次のとおりだ(2026年10月2日時点)。
| キャンプ場 | 公式ページの書き方 |
|---|---|
| ふもとっぱら(静岡県) | 灰は「ゴミステーションのドラム缶に消火した状態で捨てて下さい。」サイト内・施設内への灰の放置は「火事の原因になります。」 |
| 北軽井沢スウィートグラス(群馬県) | 燃え残りの灰・炭は灰捨て場に捨てる。最寄りの灰捨て場は場内マップで確認。「※必ず消火してから捨ててください。」 |
| 朝霧ジャンボリーオートキャンプ場(静岡県) | 使用後の灰や炭は専用の灰・炭捨て場を利用。「火の始末を確認のうえ、ご協力をお願いいたします。」 |
灰捨て場の場所や捨て方は施設によって違う。灰捨て場がなく、炭の持ち帰りを求める場所もある。たとえば公園のバーベキュー場では、東京都府中市の郷土の森公園バーベキュー場が「ごみや炭は必ずお持ち帰りください。(ごみ箱はございません。)」、愛知県一宮市が「炭は必ず持ち帰ってください。」、大阪府泉大津市が「公園内にゴミ箱や消し炭置き場は設置していません。ゴミや使用した炭は必ず持ち帰ってください。」としている。行く前にそのキャンプ場や公園の案内で確かめておきたい。消防庁・林野庁のリーフレットも「火を使う場所でのルールを守る」を注意の一つに挙げている。河川敷や公園については、大分市消防局が、バーベキューの後に炭をその場に捨てないよう呼びかけている(生えている草に着火し大きな火災となった事例がある、としている)。
持ち帰った炭や灰の出し方は、住んでいる自治体のルールに従う。たとえば山口市は、炭・練炭等は細かく砕いて「燃やせるごみ」、灰は他のごみと混ぜずに水打ちして透明か半透明の袋に入れて「燃やせないごみ」としている。出す前に自分の自治体の案内を確認したい。
火消し壺の使い方は、メーカーの取扱説明書どおりに
火消し壺を使う場合も、入れてふたをすれば終わりではない。ロゴス「LOGOS バックル火消し壺」(No. 81063126)の取扱説明書は、次のような手順と注意を挙げている。
- 取り扱うときは、必ず革製などの耐熱性グローブ(手袋)を着ける。壺は炭を入れた直後から高温になる
- 炭は一度に流し込まず、必ずトングで一つずつ入れる。入れる前に、加熱されても問題がない場所に置いておく
- 中に水は入れない。消火中は移動させず、冷えるまで目を離さない(ふたを閉めたら付属の注意プレートを付け、冷めるまで側で見守る。約30分前後)
- 底面も高温になり設置場所を焦がすので、焦げても問題のない地面等で使う。子どもやペットを周りで遊ばせない
- 完全に冷えたことを確認してから持ち帰る。灰は地方自治体の取り決めに沿って処理する
SOTO「デュアルグリル ST-930」は、グリルのふたを閉めて火消しつぼとしても使える製品だ。取扱説明書には、空気孔を閉じてふたをすると「約30分*で消火します」とあり、*印で炭火の量・燃焼状態・自然条件により異なるとしている。製品ページも、火消しつぼとして使う際は「グリル内の炭火が完全に消火されていることを確認してから収納してください」と注意している。約30分という時間はあくまで目安だ。SOTOの取扱説明書は「完全に燃え尽きたことを確認した後に撤収の作業を行ってください」としている。
熱い火消し壺も燃えさしも、テント・前室・タープの下・車内に置かない
消火中の火消し壺や、まだ熱い燃えさしを、テントの中や前室、タープの下に置かない。車内にも持ち込まない。SOTOの取扱説明書は、デュアルグリルについて「家の中、テントの中、車の中では絶対に使用しないでください」とし、理由を一酸化炭素中毒死や酸欠による窒息死のおそれとしている。NITE(製品評価技術基盤機構)も、テントの中などの換気が不十分な場所でたき火をしたり、こんろやストーブ、ランタンを使ったりすると一酸化炭素中毒に至るおそれがあるとし、必ず屋外の風通しのよい場所で使うよう呼びかけている。
寝る前だけの話ではない。起きている間でも、テントの中や前室、タープの下で火器を使わない。炭を使う器具も同じだ。屋外ならどこでもよいわけでもなく、SOTOの取扱説明書は「燃えやすいものの近くで使用しないでください」とも書いている。火消し壺はテントやタープから離れた屋外の、燃えるもののない場所に置いて冷ます。
持ち帰るときは、ロゴスの取扱説明書のとおり、火消し壺が完全に冷えたことを確かめてから車に積む。取扱説明書の「約30分」は目安で、30分たてば積んでよいという意味ではない。ロゴスの取扱説明書は「本体温度が下がってきたら、消火が進んでいることを意味します。」としていて、冷えてきたことが、消えきったことの証明になるわけではない。撤収の時間から逆算して、早めに消火を始めたい。時間内に消えきらないなら、無理に積まない。
東京消防庁の事例4は「完全に消えていない炭を収納したため出火した火災」で、火種の残った炭が、一緒に積んだ段ボールに着火した。積むときも、段ボールや未使用の炭など燃えやすい荷物とは離しておく。

100均・ダイソーには火消し壺の取り扱いが見当たらず、オイルポットは油の容器
2026年10月2日にダイソーネットストアで「火消し壺」と検索した結果は6件で、火消し壺として売られている商品はなかった。名前に「火消し」と付く「アルミ火消し 3穴」は、説明に「本体の穴に火のついたタバコを差し込むと10秒ほどで消火します。」とあるたばこ用の製品だ。
代用品としてよく名前が挙がる「オイルポット(丸型)」(税込220円)の商品説明は「油をラクラク再利用!」で、炭の消火に使う用途や耐熱温度の表示はない。用途として書かれていない使い方は、この記事では勧めない。炭の消火には、メーカーや販売店が火消し用として売っている製品を使いたい。ホームセンターの製品にも、カインズの火消しつぼのように「本来の用途以外には使用しないでください。」と書かれている。
ホームセンターでは2,000円前後から火消し用の製品がある
ホームセンターの通販では、火消し用として売られている製品を公式ページで確認できた(価格は2026年10月2日時点)。
| 製品 | 価格 | 公式ページの表記 |
|---|---|---|
| カインズ 火消しつぼ | 1,980円(ページに税込・税抜の表記なし) | 直径21×高さ27cm(取っ手部含む)、スチール、935g。使用方法は「本体のフタを開けて、バーベキュー等の残り炭を入れます。」「炭を入れ終わったらフタを閉めてください。」 |
| DCM 火消しつぼ 鉄製 | Web販売価格2,178円(税込) | (約)幅25.5×奥行18.5×高さ28cm、鉄製 |
カインズの使用上の注意には、火傷やケガ防止のため手袋を着用すること、使用前に破損や変形がないか確かめ、異常があれば使用を中止することも書かれている。DCMの商品ページには、使い方や耐熱についての記載は見当たらなかった。店頭の在庫は店舗によって違うので、通販ページか店舗で確かめたい。
アウトドアメーカーの現行品は、陶器の2,640円から多機能グリルまで
アウトドアメーカーの火消し壺のうち、公式ページで現行品と確認できたものを挙げる(価格は2026年10月2日時点、税込)。
| 製品 | 価格 | 公式ページの表記 |
|---|---|---|
| キャプテンスタッグ 和膳亭 火消しつぼ MK-1474 | メーカー希望小売価格2,640円 | 外径160×高さ130mm、約1.0kg、本体・ふた:陶器 |
| キャプテンスタッグ アルスター 火消しつぼ(M) M-7570 | メーカー希望小売価格4,730円 | 205×195×高さ220mm(本体:外径175×高さ165mm)、セット640g、アルスター鋼板 |
| LOGOS バックル火消し壺 No. 81063126 | 通常価格8,800円(公式ショップの特別価格7,920円) | 直径17×高さ21.8cm、約1.4kg、アルミ。バックル式のふた |
| SOTO デュアルグリル ST-930 | 38,500円 | 直径310×高さ170mm(使用時)、約5kg。卓上グリルで、ふたをすると火消しつぼとして使える |

袋型の製品もある。FIELDOOR(フィールドア)の「炭処理袋」はグラスファイバー(シリコン加工)で、耐熱温度は280℃。公式ページは「※ほぼ鎮火した炭や灰を入れてください。」とし、炭を入れた直後は袋の表面が大変熱くなるので素手で触らないこと、安全のため必ず手袋を着けることも書いている。金属の火消し壺と同じ使い方はできないので、火のついた炭はそのまま入れず、先に火消し壺や水を張ったバケツで消してから入れる。袋のまま車に積むときも、熱が残っていないかを確かめたい。
キャプテンスタッグのアルスター 火消しつぼ(M-7567)のように「生産終了」の型もあるので、買う前に型番ごとに公式ページで確かめたい。
焚き火に使う薪の燃え方の違いは針葉樹と広葉樹の薪の記事に、雪の中での焚き火の注意は雪中キャンプの記事にまとめている。
情報源
- 総務省消防庁・林野庁 リーフレット「ルール・マナーを守って STOP山火事!」(PDF、2025年12月作成) https://www.fdma.go.jp/relocation/html/life/yobou_contents/materials/pdf/36_yamakaji.pdf(2026年10月2日に閲覧)
- 大分市「バーベキューで使用した炭の処理に注意しましょう!!」(2022年8月22日更新) https://www.city.oita.oita.jp/o214/kurashi/anshinanzen/bebekyu.html(2026年10月2日に閲覧)
- 広島市「バーベキューで使用した炭等は完全に消火しましょう!」(2025年2月16日更新) https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/shobo/12228.html(2026年10月2日に閲覧)
- 東京消防庁「バーベキュー時の火災にご注意ください」 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kasai/barbecue.html(2026年10月2日に閲覧)
- NITE(製品評価技術基盤機構)「増加するキャンプ需要~初心者が守るべき注意点~」(2021年4月28日) https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2021fy/prs210428.html(2026年10月2日に閲覧)
- 東京都府中市「郷土の森公園バーベキュー場」(2026年9月1日更新) https://www.city.fuchu.tokyo.jp/shisetu/kankyo/koen/barbecue.html(2026年10月2日に閲覧)
- 愛知県一宮市「公園内でのバーベキューについて」(2025年6月25日更新) https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/shisetsu/kouen/1017179/1016367.html(2026年10月2日に閲覧)
- 大阪府泉大津市「公園でのバーベキューについて」(2023年10月5日更新) https://www.city.izumiotsu.lg.jp/kakuka/tosiseisakubu/matidukuriseisakuka02/osirase/7927.html(2026年10月2日に閲覧)
- 山口市「Q 花火、マッチ、炭類、灰の処分方法について」(2024年10月17日更新) https://www.city.yamaguchi.lg.jp/site/gomisigen/85884.html(2026年10月2日に閲覧)
- ふもとっぱら「利用規約」 https://fumotoppara.net/caution/(2026年10月2日に閲覧)
- 北軽井沢スウィートグラス「場内ルール」 https://sweetgrass.jp/guidance/rule.html(2026年10月2日に閲覧)
- 朝霧ジャンボリーオートキャンプ場「施設案内」 https://asagiri-camp.net/facilities/(2026年10月2日に閲覧)
- ロゴス「LOGOS バックル火消し壺」製品ページ https://www.logos.ne.jp/products/info/10757、取扱説明書(PDF) https://www.logos.ne.jp/storage/ec/products/81063126/81063126_manual.pdf(2026年10月2日に閲覧)
- SOTO「デュアルグリル ST-930」製品ページ https://soto.shinfuji.co.jp/products/st-930/、取扱説明書(PDF) https://soto.shinfuji.co.jp/wp-content/uploads/products/ST-930_manual_1001.pdf(2026年10月2日に閲覧)
- キャプテンスタッグ「和膳亭 火消しつぼ MK-1474」 https://www.captainstag.net/products/MK-1474.html、「アルスター 火消しつぼ(M) M-7570」 https://www.captainstag.net/products/M-7570.html、「アルスター 火消しつぼ M-7567」 https://www.captainstag.net/products/M-7567.html(2026年10月2日に閲覧)
- FIELDOOR「炭処理袋」 https://fieldoor.com/accessory/charcoalcarrybag/(2026年10月2日に閲覧)
- カインズ「カインズ 火消しつぼ」 https://www.cainz.com/g/4549509971580.html(2026年10月2日に閲覧)
- DCMオンライン「火消しつぼ 鉄製」 https://www.dcm-ekurashi.com/goods/241111(2026年10月2日に閲覧)
- ダイソーネットストア「オイルポット(丸型)」 https://jp.daisonet.com/products/4550480081250、「アルミ火消し 3穴 カラーアソート」 https://jp.daisonet.com/products/4975719003986(2026年10月2日に閲覧)




















